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【労務管理】子の看護等休暇とは


「子の看護等休暇」は、育児介護休業法に定められているもので、2025年4月1日から施行されています。

子育てをする労働者が、子どもの病気やけが、学級閉鎖、卒園式等の式典の際に仕事を休みやすくして、子育てをしながら働き続けることができるように位置づけられています。

事業主は、対象となる労働者から休暇の申出があったときは、原則として申出を拒否することができません。

子の看護等休暇を取れる労働者

日雇い労働者を除く、対象となる子どもがいるすべての労働者。
ただし、労使協定を結んでいる場合、事業主は次の労働者からの看護等休暇の申出は拒むことができます。

  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 時間単位で休暇を取ることが難しい認められる業務をしている労働者の時間単位の休暇

子の看護等休暇で対象となる子ども

小学校の3年生が修了するまでの子ども。
(9歳の誕生日の前日以後の最初の3月31日まで)

子の看護等休暇を取得する理由

対象となる子どもに次の理由があって世話をする場合

  • 病気やけが
  • 予防接種、健康診断
  • 感染症に伴う学級閉鎖等
  • 入園式、卒園式、入学式などの式典

子どもの病気やけがの種類や程度に決まりはありません。一般的な風邪による発熱などでも申出ができます。

また、この看護等休暇で取れる行事は「入園」「卒園」「入学」などの式典で、「授業参観日」や「運動会等」の行事は取得理由になりません。

子の看護等休暇を取得できる日数

1年間に5日まで。ただし、対象となる子が2人以上いる場合は10日まで。

休暇の単位

1日単位、または1時間単位※。

※時間単位で子の看護等休暇を取得することが困難な業務の場合、労使協定を結ぶことで労働者からの申出を拒むことができます。
(国際路線等の客室乗務員や、交替制勤務で時間単位で休む人を勤務体制に組み込むことが困難な業務など)

1日の所定労働時間の端数は切り上げ

1日の所定労働時間が7時間30分など、1時間に満たない端数がある場合は、端数を切り上げます。
(1日の所定労働時間数が7時間30分の場合は8時間分の休暇で1日分)

子の看護等休暇を取った時の賃金

子の看護等休暇中の賃金については法律上の定めがないため、事業主が自由に決められます。無給でも法律違反ではありません。

無給の場合、休む権利はあるものの、休暇を取得した分の賃金は出ないことになります。

労働者が子の看護等休暇を申出するときに伝える内容

子の看護等休暇の申出は、次の内容を事業主に伝える必要があります。

  1. 労働者の氏名
  2. 申出の対象となる子どもの氏名と生年月日
  3. 休暇を取得する年月日(時間単位の場合は開始と終了の年月日時)
  4. 申出の理由

申出書の書式については、厚生労働省が出している社内様式例を活用できます。

労働者の申出にあたって、考慮する事

労働者からの申出にあたって、事業主は次の点を考慮する必要があります。

  • 事業主は、申出理由を証明する書類の提出を求めることができますが、子の看護等休暇は一般的な風邪による発熱などでも申出ができます。そのため、医師の診断書が得られない場合、購入した薬の領収書で確認するなど、柔軟な対応が求められます。
  • 子の看護等休暇は、子どもの急なけがや発熱など、緊急の場合も多いと考えられます。そのため、当日は電話等の口頭の申出でも取得を認めて、書面の提出は後日でも可とする取扱いが求められます。

子の看護等休暇まとめ

項目 内容
対象となる労働者

日雇い労働者を除く、対象となる子どもがいるすべての労働者

※労使協定が締結されている場合、以下の労働者を除く

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

時間単位での休暇取得が難しいと認められる業務に従事している労働者の時間単位の休暇

対象となる子ども 小学校3年生が修了するまでの子ども。(9歳の誕生日の前日以後の最初の3月31日まで)
取得可能日数 1年間に5日まで。対象となる子どもが2人以上いる場合は10日まで。
取得理由

対象となる子どもの以下のいずれかの理由。

・病気やけが ・予防接種、健康診断 ・感染症に伴う学級閉鎖など

・入園式、卒園式、入学式等の式典(「授業参観日」や「運動会等」はNG)

休暇の単位

1日単位、または1時間単位※。

※時間単位での取得が困難な業務の場合で労使協定を結んでいる場合は除く

休暇中の賃金

勤務先の規定による(無給も可)。



【労務管理】社会保険適用促進手当


人手不足が社会的な問題となっていますが、アルバイトやパート等で働く人が労働時間を増やさない理由の一つとして「もっと働きたいけれど、社会保険料が上がるのが困る」「年収が増えると扶養から外れてしまう」といった理由が上げられています。

そういった手取りを気にして働くのを控えてしまう人に対応するため、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を用意しました。そのうちの一つが「社会保険適用促進手当」です。

社会保険適用促進手当とは

社会保険適用促進手当は、年収106万円以上になると厚生年金・健康保険に加入する必要があって、働き控えをしてしまう方への対応策です。

労働時間を増やしたことで労働者が新たに社会保険に加入する場合、厚生年金・健康保険料が負担とならないように、事業主の判断によって、事業主が労働者に社会保険適用促進手当を支給します。

社会保険適用促進手当は、政府から支給されるものではありません。事業主の判断で支給するもので、任意のため、支給しなくてもかまいません。

年収106万円以上になると、厚生年金・健康保険に加入する必要がある人とは

厚生年金保険の被保険者数が51人以上※の企業等で働く短時間労働者のうち、次の要件を満たす人です。(※令和6年10月から)

  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
  3. 学生でないこと

社会保険適用促進手当の社会保険料の取扱い

社会保険適用促進手当を支給する場合に、社会保険料について次のような特別な取扱いがあります。

  • 新たに社会保険に加入することになった人の社会保険適用促進手当の金額は、労働者本人が負担する社会保険料の金額までは保険料の計算に含めない
  • 労働者間の公平性を考慮するため、同じ企業の中で、すでに社会保険に加入している労働者にも社会保険適用促進手当を同じ条件で支給する場合は、特例的に同じように扱う

(標準報酬月額が10.4万円以下の方が対象)

画像は日本年金機構「年収の壁・支援強化パッケージ」より

社会保険料は、新たに加入するとき等に基本給・各種手当を加えた1カ月の総支給額を申告することで決まりますが、この総支給額から上記の条件の社会保険適用促進手当を除くことができます。

なお、標準報酬標準報酬月額・標準賞与額の算定から除外できる期間は、それぞれの労働者について、社会保険適用促進手当によって保険料の負担を軽減した最初の対象月から最大2年間です。

2年が経過した後は、通常の手当と同じように、標準報酬月額・標準賞与額の算定に含めて保険料を計算するようになります。

社会保険適用促進手当は、残業代の計算に含めるか

残業代の計算にあたっては、他の手当と同様に考えるため、社会保険適用促進手当が毎月支払われる場合は残業代の計算(割増賃金の算定基礎)に含めます。

「割増賃⾦の基礎となる賃⾦」から除外できるもの
① 家族⼿当
② 通勤⼿当
③ 別居⼿当
④ ⼦⼥教育⼿当
⑤ 住宅⼿当
⑥ 臨時に⽀払われた賃⾦
⑦ 1か⽉を超える期間ごとに⽀払われる賃金
①〜⑦は、例⽰ではなく、限定的に列挙れる賃⾦されれているものです。これらに該当しない賃⾦は全て算⼊しなければなりません。

なお、社会保険適用促進手当を毎月支払わずに「⑥ 臨時に⽀払われた賃⾦」もしくは「⑦ 1か⽉を超える期間ごとに⽀払われる賃金」として支払う場合は、「割増賃⾦の基礎となる賃⾦から除外できるもの」に該当するため、残業代の計算に含めないようになります。

社会保険適用促進手当は、労働保険(労災保険、雇用保険)の対象になるか

労働保険では特例的な扱いをされないため、含めて計算するようになります。

キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」

社会保険適用促進手当を支給した事業主には、労働者1人当たり最大50万円が助成されるキャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」が用意されています。
なお、助成金には細かい要件があるため、申請をする場合には詳細の確認が必要です。

画像は厚生労働省キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)のご案内(リーフレット)(令和6年8月27日更新)より

【毎年6月は派遣業年度報告の時期です】


【報告内容についてサポートを行っています】

もうすぐ6月となりますが、皆さんは6月と聞いて思い浮かべる事はなんでしょうか?梅雨の時期、祝日が1日もない、もうすぐ夏だなぁ、等でしょうか。私が毎年、6月と聞いて思い浮かぶのは真っ先に【派遣業の年度報告】の時期が来た、です。派遣業の許可を持っている会社は、決算報告とは別に、毎年6月末までに年度報告として派遣業の売り上げや労働者人数などを細かく労働局に提出する義務があります。こちらの報告のサポートを弊社では行っており、多くの派遣会社様の報告書作成について確認や記載内容の説明等を行っています。報告書には記載内容の説明も書いてありますが、内容が複雑でこちらだけでは、中々理解することは難しい箇所もあります。
特に、第2面の有期派遣労働者の雇用安定措置や、第6面の教育訓練の箇所は毎年、多くのお客様からどう書けば良いのかとお問い合わせを受けています。また、労働局側の確認するポイントとしても前述した雇用安定措置や、教育訓練は重点的に確認をされている箇所となりますので誤った記載をしないよう注意が必要です。

弊社の派遣会社様向けの顧問契約では、決算報告、6月の年度報告書を提出するまでのサポートをさせていただいております。報告内容についての記載方法の説明や内容確認、提出漏れがないようにお手伝いをしておりますので、お気軽にご相談ください。

【労務管理】入社した月に退職した場合の社会保険料


様々な事情で「入社した月に退職」する人は一定の割合でいますが、社会保険の取り扱いが「入社した翌月以降に退職する場合」と「入社した同じ月に退職する場合」で異なるものがあります。


フルタイム勤務等で健康保険・厚生年金保険に加入する人について、入社した同じ月に退職する場合の取り扱いをまとめます。

国民健康保険の場合

国民健康保険は、他の医療保険制度(被用者保険、後期高齢者医療制度)に加入していない全ての住民を対象とした医療保険制度です。
都道府県や特別区・市町村が保険者である「市町村国保」と、業種ごとに組織される「国民健康保険組合」があります。

入社した月に退職して、同月に国民健康保険の加入と脱退をするケース

入社した月に退職して、同月に国民健康保険の加入と脱退をするケースとして、次のような場合が考えられます。

①入社前(家族の扶養に入っている)

⇒国民健康保険組合に加入している事業所にフルタイム勤務で入社(国保に加入)
⇒退職して家族の扶養に入る(国保を脱退)

②入社前(前の勤め先で健康保険に加入している)

⇒国民健康保険組合に加入している事業所にフルタイム勤務で入社(国保に加入)
⇒退職して次の勤め先で被用者保険に加入(国保を脱退)

国民健康保険料は、月末に加入しているかどうか

国民健康保険料は、月末に加入者である場合にのみ、保険料の納付が必要になります。

そのため、同じ月に入退社(国保に加入して脱退)した場合、退職日が月末でなければ保険料はかかりません。

健康保険の資格喪失日は「退職日の翌日」ですので、退職日が末日の場合は、同じ月に入退社(国保に加入して脱退)した場合でも1カ月分の保険料がかかります。

勤務先で健康保険に入っている場合(被用者保険)

法人や一定の個人事業主の事業所は、フルタイム勤務等で被保険者となるべき人がいる場合は、原則として被用者保険の健康保険に加入することになります。

※国民健康保険組合の理事長と厚生労働大臣の承認を得て国民健康保険組合に加入している一部事業所を除く

健康保険の保険者には全国健康保険協会と健康保険組合の2種類があります。

全国健康保険協会(協会けんぽ) 全国健康保険協会(協会けんぽ)は、健康保険組合に加入している組合員以外の被保険者の健康保険を管掌しています。
主に中小企業で働く従業員やその家族約4,000万人が加入している日本最大の医療保険者です。
健康保険組合 健康保険組合は単一企業や同種同業の企業が合同で厚生労働大臣の認可を受けて設立したもので、その組合員である被保険者の健康保険を管掌しています。
入社した月に退職して、同月に被用者保険の加入と脱退をするケース

入社した月に退職して、同月に被用者保険の加入と脱退をするケースとして、次のような場合が考えられます。

①入社前(家族の扶養に入っている)

⇒被用者保険が適用されている事業所にフルタイム勤務で入社(被用者保険に加入)
⇒退職して家族の扶養に入る(被用者保険を脱退)

②入社前(転職前の勤務先で被用者保険に加入している)

⇒被用者保険が適用されている事業所にフルタイム勤務で入社(被用者保険に加入)
⇒退職して国保に加入(被用者保険を脱退)

被用者保険の同月得喪はその月分の保険料がかかる

被用者保険に加入している場合、「入社した翌月以降に退職する場合」は被保険者の資格喪失日(退職日の翌日)の属する月の保険料は徴収されません。
しかし、「入社した同じ月に退職する場合」は別で、退職日に関わらず、その月分の保険料がかかります。

資格取得と喪失が同じ月に発生することを「同月得喪」といいます。

厚生年金保険の場合

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金と、会社員や公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建ての構造になっています。

法人や一定の個人事業主は厚生年金保険の強制適用事業所のため、被保険者となるべき人がいる場合は必ず加入させる必要があります。

入社した月に退職して、同月に厚生年金保険の資格取得と喪失をする場合、まずは被用者保険の場合と同じように退職日に関わらずその月分の保険料がかかるので、給与明細から厚生年金保険料が引かれることになります。

厚生年金保険の場合、還付される場合がある

しかし、厚生年金保険の場合、退職後さらに同じ月に転職して厚生年金保険の資格を取得したり、国民年金の資格を取得したりした場合は、退職した会社の厚生年金保険料は還付されることとなります。

この場合、次のような流れで厚生年金保険料が還付されます。

  1. 年金事務所から退職した会社あてに厚生年金保険料の還付についてのお知らせが送付される
  2. 日本年金機構から退職した会社に厚生年金保険料が還付される
  3. 給与から引かれた厚生年金保険料を、会社から退職した従業員に還付する

入社した同じ月に退職する場合の社会保険の取り扱いまとめ

まとめると、次のようになります。

保険の種類月末退職かどうか保険料の発生有無補足
国民健康保険月末退職発生月末に加入者である場合に納付が必要
国民健康保険月途中退職発生しない同月に加入・脱退でも月末に在籍していなければ不要
被用者保険
(健康保険)
月末・月途中どちらも発生同月得喪の扱いになるため徴収される
厚生年金保険月末・月途中どちらも発生同月に次の資格取得があれば還付される

【労務管理】ストレスチェックとは


ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するため、労働安全衛生法で定められている「心理的な負担の程度を把握するための検査」です。2015年12月から開始されました。

ストレスチェックを実施する事業場

常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者は、ストレスチェックを年1回実施することが義務付けられています。

常時50人未満の労働者を使用する事業場については、2025年5月時点では努力義務ですが、今後3年以内に実施が義務となる見通しです。

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

事業場とは

「事業場」は、原則として同じところにある事業を行う場所です。
同じ会社でも、「東京本社」「仙台支社」のように別の場所の場合は違う事業場として扱われます。
(場所が離れていても規模が非常に小さく、組織的な関連等を考えて独立性が無い場合は、直近上位と一括して1つの事業場として取り扱われます)

また、同じ場所にあっても、「営業所」「工場」のようにそれぞれが独立して動いているなど、仕事の内容が全く異なる場合は、別の事業場として扱います。

ストレスチェックの対象となる労働者

ストレスチェックの対象者となるのは、「常時使用する労働者」です。
「常時使用する労働者」とは、一般定期健康診断の対象者と同じで、次のすべてを満たす者をいいます。

① 期間の定めのない労働契約をしている人、または有期契約労働者のうち一定の条件を満たす人
(有期契約労働者の場合)
・契約期間が1年以上 または
・契約更新で1年以上の雇用が予定されている人 または
・1年以上引き続き使用されている人
② 通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

ストレスチェックの導入・実施の仕方

導入前の準備

事業場の衛生委員会等で実施体制、実施方法等を審議・決定し、社内規程を定めて労働者に周知します。

衛生委員会

衛生委員会は、労働安全衛生法第18条により、常時50人以上の労働者を使用する事業場で設置することが義務付けられています。毎月1回以上開催するようにしなければいけません。
構成員は次の人たちで、労働者の健康障害の防止・健康の保持促進・労働災害の原因及び再発防止対策に関することなどを調査審議して事業者に意見を述べます。

  1. 総括安全衛生管理者または総括安全衛生管理者以外の者で、当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの、もしくはこれに準ずる者のうちから、事業者が指名した者
  2. 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
  3. 産業医のうちから事業者が指名した者
  4. 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

1以外の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合の推薦に基づいて指名しなければいけません。過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて指名しなければいけません。

実施体制と実施方法

ストレスチェック制度担当者を定め、実施者(医師など一定の有資格者)・実務事務従事者(医師などの実施者が指示する産業保健スタッフや事務職員など)・面接指導の実施者を決めて、労働者に説明や情報提供をします。
なお、人事上の不利益な取扱いに繋がらないよう、人事課長などの人事権を持つ立場の人はストレスチェック結果等の個人情報を取り扱う実施事務従事者にはなれません。

ストレスチェックの実施者

ストレスチェックの実施者は、「医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師」から選ぶ必要があります。外部委託も可能です。産業医が実施者になることが最も望ましいとされています。

ストレスチェック制度の社内規程

ストレスチェック制度の社内規程の形式は特に決まっていませんが、厚生労働省のホームページにモデル規程の例が掲載されているので活用できます。

なお、ストレスチェック制度の社内規程は就業規則に該当しないため、労働基準監督署へ届出の必要はありません。

医師などの実施者によるストレスチェックを実施

  1. 労働者に調査票を配布して記入して貰う。オンライン実施可。
  2. 実施者がストレスの程度を評価し、高ストレス者を選定。
  3. 実施者は労働者本人に結果を通知、面接指導が必要な人に申出を勧奨。
  4. 医師による面接指導を実施。
  5. 面接指導後、おおむね1か月以内に事業者は医師から就業上の措置に関する意見を聴く。事業者は必要に応じて就業上の措置を実施。
  6. 実施者はストレスチェック結果を集団ごとに集計・分析し、事業者に通知する。

労働基準監督署へ報告

常時50人以上の労働者を使用する事業場の事業者は、面接指導の実施後に、ストレスチェックと面接指導の実施状況を規定の様式で労働基準監督署に報告する義務があります。
50人未満の事業場については、2025年5月時点では報告義務はありません。

気を付けること

労働者の個人情報を適切に保護し、不利益な取扱いを防止することが重要です。 ​
実施者には守秘義務が課されています。 ​

【育児休業中の代替勤務手当の要望が高まってきています】


【気兼ねなく育児休業が取れる環境へ】

両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コースを検討・利用する会社が増加しています。育児休業、時短勤務を利用する従業員の仕事を代替して行った従業員に対して代替勤務手当、応援手当等の名目で、手当を支給する取り組みを行うことで、支給した手当の補助としての助成金が出ることに加え、休業する従業員の仕事を代わりに引き受けた従業員のモチベーションアップが望めるとの意見や、育児休業、時短勤務を利用する従業員からも周りを気にせず利用できるとして、従業員側からの要望も高まっている制度と言えます。
育児休業等を利用している従業員には会社からの給与は原則支給されませんので、その支給されなくなった給与を原資として、代替勤務を行う従業員に分配を行うといった形です。もともと浮いた給与を使用するので会社負担が少ないという利点があります。

近年、男性の育児休業取得率は大幅な上昇傾向にあり、男性でも育児休業を取れる環境、働きやすい環境を求める従業員も少なくありません。
御社の離職率低下や優秀な人材確保の為にも環境整備について考えてみてはいかがでしょうか。

【労務管理】令和7年6月からの職場における熱中症対策


労働安全衛生規則の一部が改正され、令和7年6月1日から熱中症のおそれがある作業を行う場合は次の対策が義務付けられます。

  • 早期発見のための体制整備
  • 熱中症による重篤化を防止するための措置・手順を作成
  • 関係作業者への周知

近年、気候変動の影響で熱中症による死亡災害が起きていますが、熱中症は死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍もあり、早急に適切な対策をすることが求められています。

熱中症対策が必要になる作業

熱中症対策が必要になる作業は、暑熱な場所で連続して行われる作業など、熱中症が生じるおそれのある作業です。具体的には、

WBGT28度  または  気温31度以上の作業場 において行われる作業で、

継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。

作業強度や着衣の状況によっては上記に該当しなくても熱中症のリスクが高まるので、同じような対策が推奨されます。

WBGTとは

WBGTは、『厚さ指数』と言われるもので、人間の熱バランスに影響の大きい「気温」「湿度」「輻射熱」の3つを取り入れた温度の指標です。

WBGTは熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案され、日本では環境省が運営する『熱中症予防情報サイト』で情報発信されています。

熱中症予防情報サイトでは、無料で予測値や実況値等をお知らせする『暑さ指数(WBGT)メール配信サービス』もあり、令和7年度は4月23日(水)から10月22日(水)まで実施される予定のようです。

  • 厚さ指数(WGBT)は28を超えると熱中症患者発生数が急増するとされています。
  • 熱中症警戒アラートは、厚さ指数(WGBT)が33以上になると予測される地点があるときに発表されています。

早期発見のための体制整備

「熱中症の自覚症状がある作業者本人」や「熱中症の疑いがある人を見つけた他の作業者」が、その旨の報告をするための連絡体制等を整備し、体制を周知する必要があります。

どのような順番で、誰がどこに連絡するのか、緊急搬送先の連絡先や所在地等をまとめて周知します。

※本資料は、熱中症対策に関する連絡体制の一例として作成したものであり、すべての状況において適用可能であることを保証するものではありません。実際の運用にあたっては、各事業所の実情や関係法令に基づき、内容をご確認・ご調整のうえご利用ください。
本資料の利用により生じた損害等について、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

熱中症による重篤化を防止するための措置・手順を作成

作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送など、熱中症による重篤化を防止するために必要な措置を実施するための手順を作成します。

熱中症のおそれのある者に対する処置の例が厚生労働省のサイト内にあるので、事業場ごとにフロー図を作成する際の参考にできます。

熱中症のおそれのある者に対する処置の例フロー図①
厚生労働省 職場における熱中症対策の強化についてより

体制や手順の周知

作成した連絡体制や手順は関係作業者に周知します。

手順や連絡体制の周知の一例
厚生労働省 職場における熱中症対策の強化についてより

【労務管理】試用期間とは


試用期間は、雇い入れ後、労働者を本採用するか見極めるための期間です。

「試の使用期間中の者」とは、本採用決定前の試験的使用期間中の労働者であって、その期間中に勤務態度、能力、技能、技能、性格等を見て正式に採用するか否かが決定されるものである。
一般には、本採用に適しないと判断されたときはその期間中といえども解雇し得るように、解約権が本採用者に比して広範に留保されており、その期間中の賃金その他の労働条件も低く定められている。

労務行政研究所編「実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法」より

試用期間は必ず設けなければいけないものではありません。
必要に応じて、就業規則や雇用契約に試用期間を定めます。

  • 試用期間を設ける場合は、就業規則や労働条件通知書に期間や試用期間の労働条件を明確に定めます。
  • 試用期間の長さに関する法律上の決まりはありませんが、1カ月~6カ月程度が多いようです。
  • 合理的な理由もなくあまりにも長期間を試用期間とすると、公序良俗違反とされる可能性があります。
  • 試用期間を延長する場合は、労働者を不安定な地位に置くことになるので、きちんとした根拠や合理的な理由が必要です。
  • 就業規則に延長の可能性や延長する事由、期間、回数等について定めておくと良いですが、定めていない場合は労働者本人に合意をとるなど、延長にあたって丁寧な説明をすることが求められます。

試用期間は、正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約期間の定めがある有期契約社員にも設けられる場合があります。

試用期間中の解雇

労働基準法21条では「試用期間中の者を入社から14日以内に解雇する場合には、解雇予告手当の支払いは必要ない」としています。

※解雇予告手当とは
労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければいけません。
30日前に予告をしない場合は、30日よりも少ない日数分の平均賃金を支払う必要があります。この手当のことを解雇予告手当といいます。

解雇予告手当の必要がないのは入社から14日以内の試用期間中の者ですので、入社から15日以降の試用期間は通常どおり解雇予告手当が必要になります。

また、試用期間中や試用期間が終わって本採用をしないことによる解雇は、正社員の解雇より幅広く認められるとされていますが、試用期間中であればきちんとした理由もなく簡単に解雇できるわけではありません。


本採用を拒否する理由として、その人物に応じた客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として認められる必要があります。
日々の丁寧な指導や面談、改善の機会を与えることなどが求められます。

有期契約社員の試用期間

有期契約社員にも試用期間が設けられることは珍しくありませんが、労働契約法第17条では、「期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」としています。

労働契約法 第17条(契約期間中の解雇等)

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

労働契約法の関連通達(基発0810第2号)によると、「やむを得ない事由」があるかどうかは個別の具体的な事案に応じて判断されるものの、契約期間は労働者と使用者が合意により決定したものなので、遵守されるべきであるとしています。


「やむを得ない事由」は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」よりも厳しく判断されます。

正社員など期間の定めのない労働契約をしている社員を解雇するときよりも、期間の定めがある労働契約をしている有期契約社員を契約期間中に解雇することは難しいです。

そのため、有期契約社員に試用期間を設ける場合、本採用拒否をすることは期間の定めがない労働者よりもハードルが高いことに留意が必要です。

【助成金】キャリアアップ助成金の変更について


重点支援対象者とは

キャリアアップ助成金が、2025年4月から一部変更されます。
大幅に変更になりましたので、要注意です。

重点支援対象者
 有期→正規 80万円(60万円)
 無期→正規 40万円(30万円)
重点支援対象者以外
 有期→正規 40万円(30万円)
 無期→正規 20万円(15万円)
 ( )は大企業の助成額

重点支援対象者とは
 a 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
 b 雇入れから3年未満で、次の①②いずれにも該当する有期雇用労働者
  ①過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下
  ②過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
 c    派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
 ※雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働者とみなします。



 

 

 

 

 

 

 

 

【労働者派遣】派遣料金交渉について派遣元・派遣先のリーフレットが公開されました


派遣先は労働者の公正な待遇確保のため、派遣料金について配慮義務があります。

厚生労働省から派遣元・派遣先会社に向けてのリーフレットが公開されました。

内容は「派遣労働者の公正な待遇確保のため、派遣元・派遣先の連携・協力をお願いします」となっています。派遣労働者の公正な待遇確保について、派遣元からの派遣料金交渉には派遣先も配慮を行う必要があります。(派遣法第26条第11項)、派遣先は派遣契約締結時だけでなく、更新時など、その後の時期にも配慮をする必要があり、派遣元からの交渉に対して一切応じない場合には行政指導の対象となり得ます。リーフレット発表の背景として、派遣賃金の労使協定方式では、近年、派遣労働者に支払うべき一般賃金水準が上昇傾向にあり、派遣元は法律により上昇した賃金基準額を派遣労働者に支払う必要があります。派遣元が賃金基準額の上昇により派遣先に派遣料金の賃上げ交渉を行うが、基準賃金の上昇分以下の賃上げにとどまることや、交渉のテーブルに着かないなど、派遣先が派遣元に対して不当な扱いを行う事例でも、派遣先からの仕事がなくなると困る派遣元が受け入れるしかない、と言うような状況等が考えられます。

派遣元会社からの適切な交渉要求に応じない際は、派遣先会社が行政指導の対象となる事を認識していない派遣先会社も多いと思われます。派遣先会社も派遣労働者の待遇に対して配慮義務を行う必要があることにご留意ください。

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