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【労務管理】副業と社会保険

副業の推進

政府は、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日)において、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」としており、今後、副業をする人は増える傾向にあると思います。

一方で、平成28年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が実施されており、フルタイムでない働き方をする場合にも、企業などで働く方が厚生年金保険や健康保険といった「社会保険」に加入するケースが広がってきています。

そのため、今後、「主たる勤務先」と「副業先」どちらでも社会保険に加入しなければいけないケースは増えてくると思います。

パートタイマー・アルバイト等の方が社会保険に加入するケース

パートタイマー・アルバイト等が、事業所と常用的使用関係にある場合、次の働き方をしていると社会保険に加入するようになります。

  1. 1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上の場合
  2. 「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務していて、以下のすべてに該当する場合
    ・週の所定労働時間が20時間以上あること
    ・賃金の月額が8.8万円以上であること
    ・学生でないこと

特定適用事業所とは

1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が101人以上※となることが見込まれる企業等のこと。  ※令和6年10月からは厚生年金保険の被保険者数が51人以上

ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するケース

ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するようになるケースを考えてみます。

① 通常の労働者の4分の3以上

事業所によって「通常の労働者」の時間は違いますが、仮に「通常の労働者」が1日8時間、週5日勤務とすると、ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するのは、次のような働き方が考えられます。

8H×週5日×4分の3=週30時間

(例)
主たる勤務先 1日6H×週5日(週30時間)
副業先    1日6H×週5日 (週30時間)  

昼も夜もフルタイムに近い働き方をする方や、複数事業所で常勤取締役をするなどが考えられますが、週1日も休みなく働いたり、1日12Hを恒常的に働くようになるので、あまり多くの方は該当しないものと思います。

② 特定適用事業所で週20時間以上

特定事業所で週20時間の勤務をしている場合、仮に1日4時間、週5日勤務とすると次のような働き方が考えられます。

(例)
主たる勤務先 1日4H×週5日 (週20時間)
副業先    1日4H×週5日 (週20時間)

午前と午後で勤務先を分けて働いている場合などが考えられます。
賃金の月額が8.8万円以上であること、学生でないこと、も満たす必要がありますが、最低賃金も上がってきているので、月額要件は満たす場合が多いと考えられます。


副業が活発になると、このような働き方をする方が増えることも考えられるのではないでしょうか。


また、主たる勤務先が①で、副業先が②、などのケースも考えられると思います。

複数の事業所で社会保険に加入するようになったときの手続き

「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を届出し、主たる事業所を選択して管轄する年金事務所または保険者等を決定します。

保険料

社会保険料の標準報酬月額は、「それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額」で決定されます。

さらに、決定された標準報酬月額の保険料額を、「それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分」して、保険料が決定され、それぞれの事業所へ通知されることとなります。

健康保険証

健康保険証は、選択した事業所のみで健康保険証が発行されます。

報酬に変更があったとき(月額変更)

「各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか」で判断することになります。

それぞれの事業所で固定的賃金が変動し、2等級以上の差が生じていれば、月額変更の届出をすることになります。
あくまで、それぞれの事業所で該当するか否かを確認するので、届出にあたり、他方の事業所の報酬を気にする必要はありません。
ひとつの事業所で月変に該当した場合には、合算して2等級以上の差が生じていない場合でも随時改定が必要になります。

【労務管理】無期転換申込権が発生する有期労働契約更新時の明示義務

令和6年4月から、無期転換権が発生する有期労働契約を結ぶとき、使用者は労働者に対して次のことを伝えなければいけません。

【参考】2023/11/01掲載 【労務管理】2024年4月から労働条件明示が変更・無期転換ルールについて 

  1. 無期転換を申し込むことができることを伝える
  2. 無期転換後の労働条件を書面で明示する 

たとえ労働者が「無期転換はしません」と言ってきたとしても、法律上義務になっているので明示する必要があります。

そもそも無期転換申込権とは・・

対象者期間の定めがある雇用契約を結んでいる労働者
権利がある期間契約期間が通算して5年を超える雇用契約を結んだとき、その契約期間の初日から末日までの間
内容自身の雇用契約を【期間の定めがある契約】から【期間の定めがない契約】に変更することを依頼する権利

労働者が無期転換を申し込むと、使用者は申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約がその時点で成立します。使用者は申し出を拒否することはできません。
無期労働契約に転換されるのは、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日からです。

労働条件通知書の書き方

厚生労働省のHPに労働条件通知書のひな形がありますが、令和6年4月1日以降の様式(一般労働者用;常用、有期雇用型)には次の内容が追記されています。

明示義務に漏れがないようにひな形が変更されていて助かりますね。
漏れなく記入できれば問題ありませんが、表現がちょっと難しいと思うので、できるだけ平たく説明してみます。

更新上限の有無とは

更新上限とは、 有期労働契約の「通算契約期間」または「更新回数」の『上限』のことを指しています。

「契約更新しても合計で〇年(△回)までですよ」ということです。

使用者は、令和6年4月1日以降の有期労働契約については、更新上限がある場合はその内容を書面で明示しなければいけません。有期労働契約は、何度か更新することがあると思いますが、契約締結の当初だけではなくて、更新のたびに明示が必要になります。

例えば、次のような記載が考えられます。

・更新上限の有無( 無 )

・更新上限の有無( 有(更新10回まで/ 今回の契約は更新2回目))

・更新上限の有無( 有(通算契約期間5年まで/ 今回の契約末日時点で、通算契約期間3年6カ月))

労働契約法に定める同一の企業との間での通算契約期間が5年を超える有期労働契約の締結の場合とは

労働契約法に定める同一の企業との間での通算契約期間が5年を超える有期労働契約の締結の場合とは 、次の有期労働契約を締結する場合のことを指しています。

誰が期間の定めがある雇用契約を結んでいる人(いわゆる契約社員)
何をしたとき 同じ勤務先で「最初に有期雇用契約で入社した日」から「今回の雇用契約期間の末日まで」の期間を数えると、5年を超えるとき

(例)1回の雇用契約期間が3年の契約社員が更新する場合

最初の雇用契約 R2年4月1日~R5年3月31日
今回の雇用契約 R5年4月1日~R8年3月31日

最初に入社した日 R2年4月1日
今回の雇用契約期間の末日 R8年3月31日

⇒通算すると6年
⇒【通算契約期間が5年を超える有期労働契約の締結】に該当

該当した場合は、次のことが必要になります。

  1. 無期転換を申し込むことができることを伝えて
  2. 無期転換後の労働条件を書面で明示 

上の(例)の場合ですと、労働条件通知書の内容を次のように書くようになります。

本契約期間中に会社に対して期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の締結の申込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日(R8年4月1日)から、無期労働契約での雇用に転換することができる。

無期転換後の労働条件を書面で明示とは

『無期転換後の労働条件を書面で明示する』ですが、これは勤務先がどのように定めているかによります。

そもそも「『無期転換=期間定めがない契約』って『正社員になる』ってことなんじゃないの?」と思う方も多いと思います。
それがそうとも限らないのです。ややこしいですよね。

『期間の定めがある契約社員』と『期間の定めがない契約社員』と『正社員』と、それぞれ職務内容や職責などに応じて給与や手当を異なるものに定めることは、勤務先(会社)の定め方によります。
まだ定めていない事業所で、該当する人がでてきそうな場合は速やかに決める必要があります。すぐに該当する方がいなくても、有期契約労働者がいる事業所では、将来にわたっての人材活用を考える上で無期転換をした後の待遇を決めておくことは重要なことだと思います。

この場合の本契約からの労働条件の変更の有無( 無 ・ 有(別紙のとおり) )

労働条件通知書には、『期間の定めがある雇用契約』と『無期転換後の雇用契約』で労働条件に違いがあるかどうかを記載してください。

別紙は、就業規則があれば該当ページを比較できるようそれぞれ用意すればいいと思いますし、就業規則の作成義務がないところであれば比較できる書面を用意すると良いと思います。

また、無期転換後の労働条件について、正社員等のフルタイム労働者との均衡を考慮した点を説明する努力も求められます。
無期雇用フルタイム労働者は、同一労働同一賃金で正社員との間の不合理な待遇差の解消を目指す対象に含まれませんが、従業員に長く働いてもらうためにも待遇についての均衡をきちんと考え、説明できるようにしておくのは大切です。

有期雇用特別措置法による特例とは

有期雇用特別措置法による特例とは、簡単にいうと「無期転換ルールが適用されない特例」のことです。

特例の対象者になるのは、次のどちらかです。


  1. 「5年を超える一定の期間内に完了する業務」に就く高度の専門知識等を有する年収1,075万円以上の有期雇用労働者(高度専門職)
  2. 定年に達した後、引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)

※高度専門職は、次のいずれかにあてはまる方が該当します。

  1. 博士の学位を有する者
  2. 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士
  3. ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
  4. 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
  5. 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナー
  6. システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
  7. 国等(※)によって知識等が優れたものであると認定され、上記①から⑥までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者(※)国、地方公共団体、一般社団法人または一般財団法人その他これらに準ずるものをいいます。

※次の場合は「継続雇用の高齢者」にならず、特例の対象にならないので注意してください。

  • A事業場で定年退職した後、B事業場で新たに有期労働契約で雇用された労働者
  • 定年に達しない時点で無期労働契約から有期労働契約に転換した労働者 

特例の対象となるには、事業主が雇用管理措置の計画を作成して提出し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。

労働条件通知書には、特措法の認定を受けている場合、該当する内容に応じて記入するようになります。

【有期雇用特別措置法による特例の対象者の場合】
無期転換申込権が発生しない期間: Ⅰ(高度専門)・Ⅱ(定年後の高齢者)
Ⅰ 特定有期業務の開始から完了までの期間(   年  か月(上限10年))
Ⅱ 定年後引き続いて雇用されている期間

【労務管理】自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第367号)により改正され、令和6年4月1日から適用されます。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)とは

トラックなど自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図るため、業務の特性を踏まえて、労働基準法では規制が難しい次の内容を大臣告示として平成元年に定めたものです。


労働基準法では「労働時間」や「休憩時間」を定めていますが、改善基準告示では主に次の内容を定めています。

 拘束時間   始業から終業までのすべての時間。
休憩や仮眠時間を含みます。
 休息期間  終業してから次の始業までの間。
勤務と勤務の間の自由な時間で、労働者にとって全く自由な時間です。
 運転時間 運転している時間。
 連続運転時間  連続して運転している時間。
※図は厚生労働省労働基準局 トラック運転者の労働時間等の改善基準ポイントから抜粋

改善基準告示の対象者

改善基準告示の対象者は、労働基準法第9条にいう労働者であって、四輪以上の自動車の運転業務を主にする人です。

  • 労働者のうち、同居の親族のみを使用する事業または事業所に使用される者および家事使用人は除きます。
  • 個人事業主は、労働基準法での労働者ではないので直接の対象とはなりません。しかし、国土交通大臣が旅客自動者運送事業者や貨物自動車運送事業者への勤務時間や乗務時間の告示を定めており、その基準で改善基準告示が引用されているので、実質的に改善基準告示の順守が求められています。

自動車の運転の業務を主にしているかどうか

自動車の運転の業務を主にしているかどうかは、個別に実態に応じての判断されます。
物や人を運搬するために自動車を運転する時間が、実際に労働時間の半分を超えていることなどが判断要素となります。

また、運送を事業としてとして行っていなくても、

  • 工場などの製造業における配達部門の自動車運転者
  • 自家用自動車の自動車運転者

など、自動車運転者を労働者として使用していれば改善基準告示は適用されます。

改正の背景

厚生労働省島根労働局監督課が出している「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容(トラック)について」によると、トラック運転者は、全産業平均と比べて『年齢が高く』『実労働時間数が長く』『所定内給与額が低い』傾向にあります。

 

また、令和3年度の脳・心臓疾患の労災支給決定件数は、
道路貨物運送業32.5%、
貨物自動車運転者30.8%
と、業種別・職種別でそれぞれ最も高い結果でした。

 

脳・心臓疾患の労災認定基準では、労働時間と睡眠時間について重要な要件のひとつとして見ています。

これらの観点や、働き方改革における時間外労働の上限規制(年間960時間以内)をふまえて改正にいたりました。

改善基準告示の改正内容

トラック運転者

  • 1年、1カ月の拘束時間

1年の拘束時間は3,300時間以内、かつ、1カ月の拘束時間は284時間以内です。

≪例外≫

労使協定を結んだ場合は
・1年の拘束時間が3,400時間に収まる範囲内で
・1年のうち6カ月までは1か月の拘束時間を310時間まで
にできます。
ただし、1カ月の拘束時間が284時間を超える月は連続3カ月までです。

1カ月の時間外労働および休日労働の合計時間数は100時間未満になるよう努力しなければいけません。

  • 1日の拘束時間

1日(始業時刻から数えて24時間)の拘束時間は13時間以内が基本です。
延長する場合の上限は15時間で、14時間を超えるのは週2回までが目安です※。


1日の拘束時間が13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努める必要があります。
回数は週2回までが目安ですが、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

※一定の要件を満たす宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回まで16時間まで延長ができます。

  • 1日の休息期間

休息期間(終業後、次の始業までの間)継続11時間以上与えるように努めることを基本として、継続9時間を下回ってはいけません
※一定の要件を満たす宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回まで継続8時間以上とすることができます。

  • 運転時間

2日を平均して1日あたりの運転時間は9時間以内2週を平均して1週あたりの運転時間は44時間以内です。

  • 連続運転時間

連続運転時間は4時間以内です。

運転開始後4時間以内、または4時間を経過した直後に、30分以上は運転を中断する必要があります。
中断は、原則として休憩を与えなければいけません。

運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上としたうえで分割することもできます。
1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。

  • 休日と休日労働の回数

休日は、休息期間に24時間を足した連続した時間を指します。
休息期間に24時間を足した時間(=休日)はどんな場合でも30時間を下回ってはいけません。

なお、休息期間は11時間が基本で9時間を下回ってはいけないので、
通常勤務の場合は継続33時間(24時間+9時間)を下回ることのないようにする必要があります。


休日労働は2週間に1回が限度で、休日労働によって拘束時間の上限を超えないようにする必要があります。

その他、車両の故障など予期しえない事象や、分割休憩・2人乗務・隔日勤務・フェリーの場合の特例などが定められています。

タクシー・ハイヤー運転者

≪日勤の場合≫

  • 1カ月の拘束時間

日勤勤務者の1か月の拘束時間は288時間以内です。

  • 1日の拘束時間

1日(始業時刻から24時間)の拘束時間は13時間以内とし、延長する場合でも上限は15時間です。
延長する回数は週3回までが目安です。

13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めなければいけません。
また、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

  • 1日の休息期間

勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはいけません。

≪隔日勤務の場合≫

隔日勤務とは、始業と終業の時刻が同じ日にない業務をいいます。
深夜時間帯を含む2労働日の勤務を1勤務にまとめて行うもので、都市部を中心に広く採用されています。

  • 1カ月の拘束時間

隔日勤務者の1か月の拘束時間は262時間以内です。
※地域的その他特別な事情がある場合、労使協定により1年のうち6カ月までは1か月の拘束時間を270時間まで延長することができます。

  • 2暦日の拘束時間

22時間以内、かつ、2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内です。

  • 2暦日の休息期間

勤務終了後、継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回ってはいけません。

また、日勤勤務と隔日勤務を併用して頻繁に勤務態様を変えることは、労働者の生理的機能への影響を鑑みて認められません。

その他、車両の故障など予期しえない事象についての特例や、車庫待ち等の自動車運転者についての定め、累進歩合制度の廃止やハイヤーについての36協定のルール、 休日労働は2週間に1回が限度などが定められています。

バス運転者

  • 「1年・1カ月」または「52週・4週平均1週」

どちらかを選択します。

「1年・1カ月」の基準1年の拘束時間は3,300時間以内 かつ 
1カ月の拘束時間は281時間以内
※貸切バス等乗務者の場合は例外の規定があります。
「52週・4週平均1週」の基準 52週の拘束時間は3,300時間以内 かつ 
4週を平均した1週あたりの拘束時間は65時間以内
※貸切バス等乗務者の場合は例外の規定があります。
  • 1日の拘束時間

1日の拘束時間は13時間以内とし、延長する場合でも上限は15時間です。

延長する回数は週3回までが目安です。
13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めなければいけません。
また、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

  • 1日の休息期間

勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回ってはいけません。

  • 運転時間

2日を平均した1日あたりの運転時間は9時間以内
4週間を平均した1週間あたりの運転時間は40時間以内です。

※貸切バス等乗務者の場合の例外があります。

  • 連続運転時間

連続運転時間は4時間以内です。

運転開始後4時間以内、または4時間経過直後に、30分以上は運転を中断して休憩等を確保しなければいけません。

運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上としたうえで分割することもできます。

※高速バス・貸切バスの高速道路の実車運行区間の連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努める必要があります。

  • 休日労働

休日労働は2週間に1回が限度で、休日労働によって拘束時間の上限を超えないようにする必要があります。

その他、車両の故障など予期しえない事象や、分割休憩、2人乗務、隔日勤務、フェリーの場合の特例などが定められています。

 

【労務管理】2024年4月以降の時間外労働の上限規制

労働時間は、原則として1日8時間、1週につき40時間以内と労働基準法で定められています。
(法定労働時間といいます)

36協定を結ぶと法定労働時間を超えて時間外労働ができるようになりますが、働き方改革の一環で、2019年4月(中小企業は2020年4月)から時間外労働の上限時間が法律で定められました。

時間外労働の上限

原則の限度時間・1カ月45時間(休日労働時間を含めない)
・年間360時間以内(休日労働時間を含めない)
臨時的な特別な事情がある場合・1カ月100時間未満(休日労働時間を含める)※1
・複数月を平均して80時間以内(休日労働時間を含める)※2
・年間720時間以内(休日労働時間を含めない)
・原則の限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年間6ヶ月まで
※1 100時間”未満”なので、100時間は時間外労働をしてはいけません。99時間59分までです。
※2 複数月を平均して、というのは、具体的に「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」のすべてを満たすことをいいます。 

時間外規制の猶予期間が終わる業種

次の事業・業務は、業務の特性や取引慣行の課題があることなどから時間外労働の上限規制の適用が猶予されていましたが、2024年4月からは猶予期間が終わって上限規制が適用されます。

  • 工作物の建設の事業
  • 自動車運転の業務
  • 医業に従事する医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

工作物の建設の事業

2024年4月以降、建設業では、『災害時における復旧及び復興の事業』を除いて、臨時的な特別な事情がある場合でも時間外労働の上限規制が『一般の労働者と同じように』適用されます。

≪再掲≫

災害時における復旧及び復興の事業

災害時における復旧及び復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されません。臨時的な特別な事業がある場合の年間720時間以内、原則の限度時間を超えられるのは年間6カ月まで、のみが適用となります。

自動車運転の業務

2024年4月以降、自動車運転者は、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働の上限が『年間960時間以内』となります。

一般の労働者と異なり、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働と休日労働の合計について、次の規制は適用されません。

  • 月100時間未満
  • 2~6ヶ月平均80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで

自動車運転の業務に従事する労働者は、時間外労働時間の上限規制とは別に、令和6年4月1日から適用される運転時間や勤務間インターバルについて定めた「改善基準告示」を遵守する必要があります。

医業に従事する医師

2024年4月以降、医業に従事する医師は、臨時的な特別な事情がある場合の『年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(※)』となります。

一般の労働者と異なり、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働と休日労働の合計について、次の規制は適用されません。

  • 月100時間未満
  • 2~6ヶ月平均80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで

※労働基準法とは別に、医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがあります。
特別条項付き36協定(臨時的な特別な事情がある場合)を締結する場合、特別延長時間の上限(36協定上定めることができる時間の上限)については、次のようになります。

  • A水準、連携B水準 …年960時間(休日労働含む)
  • B水準、C水準   …年1,860時間(休日労働含む) 

特例水準は都道府県から指定されます。

なお、医業に従事する医師については、特別延長時間の範囲内であっても、個人に対する時間外・休日労働時間の上限として副業・兼業先の労働時間も通算して、時間外・休日労働を、次のようにする必要があります。

  • A水準…年960時間/月100時間未満(例外的につき100時間未満の上限が適用されない場合がある)
  • B・連携B水準・C水準…年1,860時間/月100時間未満(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合が
    ある)

鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

2024年4月以降、上限規制がすべて一般の業種と同じように適用されます

【労働者派遣】同一労働同一賃金について

 既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、労働者派遣事業においても「同一労働同一賃金」が2020年4月から大企業、中小企業にに関わらず全社、適用されます。
 来年4月からの適用ですので、少し早く感じるかもしれませんが、来年の4月の派遣契約には料金等はすでに関連していますし、派遣先の会社ご担当者と早めに話し合いをされた方がよろしいのではないでしょうか。

均等・均衡方式と労使協定方式について

 以下について簡単に解説いたします

  1. 均等・均衡方式と労使協定方式について(どちらかを選びます)
      本当に簡単に解説します。
      均等・均衡方式は、給与・賞与・退職金などを派遣先に合わせる
      労使協定方式は、給与・賞与・退職金などを派遣元会社内で労使で合意する、給与の額は、6,7月に発表される基準による。
  2. 1の方式の選び方
      多くの方と話しているとほとんどの方々は、労使協定方式を選んでいます。派遣先の会社に同じ様に勤務している方々の給料等の情報を聞くのにためらわない、またそもそも教えてもらえない、などという声もありました。また派遣先が大企業の場合に、特に退職金の額などが大きく異なるのも均等・均衡方式が選ばれない主な理由です。
  3. 注意点 退職金制度について
      均等・均衡方式は2でも記載しましたが、派遣先に合わせた退所金制度になります。ということは、派遣先に退職金制度がなければ、派遣従業員に退職金をその派遣期間分を支払う必要はありません。また入社して5年は支給されないなどの規定もよくあります。そのような場合も、同じように適用されます。
      一方、労基協定方式は、社内で退職金制度を作る必要があります。現在対象金制度がなくても派遣事業のために作る必要があります。しかも年収の6%という基準もあります。例えば、月額給与・手当25万円、賞与年間4か月分100万円で年収400万円ですので、6%は年24万円、月額2万円を退職金として新たに積み立てる必要があります。もちろん派遣料金の見直しが必要になります。

 今後、各労働局では、派遣事業者に対して、同一労働同一賃金に関する説明会を開催する予定です。
 個別でのご相談も弊社でさせていただいています。

年次有給休暇について~年次有給休暇管理簿ひな形

年次有給休暇管理簿は3年間保存

2019年4月1日以降、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して使用者は年5日間の指定が義務付けられます。

また、使用者は労働者毎の年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存することが求められます。

 

年次有給休暇の管理簿

そもそも有給休暇の付与日数や消化日数の管理さえしていなかった…という場合、2019年4月に備えてまずは年次有給休暇の管理簿を作成することから始めてください。

 

年次有給休暇管理簿(Excel)はこちら
※各書式はサンプルですので、ご利用にあたっては関係法令等をご参照の上、各社の状況に応じて変更してご使用ください。
なお、掲載する書式集を使用しての一切の責は当事務所では負いかねますのでご了承ください。

Excelの黄色枠内に入社日や有給休暇の使用日を入れると、法定の付与日や付与日数、使用期限(時効)、残日数が簡単に確認できるようになっています。

半日や時間単位取得、フルタイム労働者以外の場合はExcelを編集してご利用ください。

有給休暇の管理で気を付けること

有給休暇の管理で気を付けないといけないことは、使用日と時効の管理です。
(慣れていないと意外と面倒です。。)

従業員数が数十名いる場合は有料ソフトを入れたほうが効率化が図れていいと思いますが、数名程度であればExcel管理で十分かと思います。

Excelも使いなれていない・・という場合は、こちらのpdfで手書きで管理していただくと良いと思います。

年次有給休暇管理簿 (pdf用)はこちら

また、北海道労働局HPに参考様式がありました。ご参照ください。

(佐藤)

年次有給休暇~斉一的付与制度とは?

年次有給休暇の付与日を統一する「斉一的取扱い」

従業員の入社日がバラバラだと年次有給休暇の付与日もバラバラになるため、使用者は管理が煩雑になると思います。
そこで、年次有給休暇は従業員全員の付与日を統一する「斉一的取扱い」という方法が認められています。

気を付けるポイント

通達(基発0331第14号)で以下のような留意点が示されています。

・法定の基準日以前に付与する場合、年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
・次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

どういうことかというと・・・

(例)
4/1を付与日(基準日)として統一する場合

4/1入社のは1日も出勤していませんが、「短縮された期間は全期間出勤したものとみなす」ので10日付与の対象になります。
3/1入社の人の出勤率を以下のように算出して、出勤率が8割以上であれば4/1に付与します。

【基準日よりも過去】通常の出勤日数を数える…3/1~3/31
【基準日以降】全期間出勤したものとみなす …4/1~8/31

◎出勤率の計算方法
出勤率=【出勤日数(算定期間の全労働日のうち出勤した日数)】÷【全労働日(算定期間の総暦日数から就業規則で定めた休日を除いた日数)】

※出勤日数には、遅刻・早退した日は含めて、休日出勤した日は除きます。また、次の取扱いに注意してください。

・全労働日の日数から除外(分母の日数を減らす)
(1)使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
(2)正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
(3)休日労働させた日
(4)法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日等であって労働させた日

・出勤日数として取り扱う(分子の日数を減らさない)
(1)業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
(2)産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日
(3)育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
(4)年次有給休暇を取得した日

付与日と付与日数

ここで疑問になるのは、すべての社員(フルタイム)に入社後4/1に10日付与すればいいのか?ということですが、良く考えると法定を下回るケースがでてしまいます。。。

 

【OK】10/1~4/1入社の社員…4/1に10日付与すれば、法定(入社から半年で10日付与)を下回らない。
【NG】4/2~9/30入社の社員…4/1に10日付与だと半年以上経過するので、法定(入社から半年で10日付与)を下回る。

そこで考えられるのが、
【パターン1】すべての社員に入社日に10日支給し、基準日には出勤率を算定したうえで11日付与する。
【パターン2】入社から基準日まで6か月を超える社員には入社日に10日支給する。
など。。

ただ、【パターン2】だと入社日の違いですぐに使える有給休暇の日数に差がでてしまい、社員が不公平と感じると思います。
不公平感をなくすため、入社日に10日付与しない社員には入社日に応じて比例付与する…と配慮するなど、従業員の代表者等と協議をして会社の実状に合った取扱いになるよう工夫が必要です。

分割付与

分割付与は、10日のうち何日かを繰り上げて付与することです。

例えば4/1に入社した社員に入社時に5日、半年後の10/1に5日(法定の10日―既に付与した5日)付与することもできます。

このケースで気を付けなければいけないことは、通達の「次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。」です。

上記例ですと、次年度の付与日は本来翌年10/1ですが、初年度に10日のうち5日分について6箇月繰り上げているので、同様に6箇月繰り上げて、4月1日に11日付与する場合などが考えられます。

 

(佐藤)

年次有給休暇について~年5日の取得が義務化!

使用者は年5日間の指定が義務

2019年4月1日以降、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は年5日間の指定が義務付けられます。

(罰則付き。労働基準法第120条)

2019年4月1日以降に変わる事って?

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は年5日の有休を『使用させる(消化させる)』ことが義務になります。

いままでは有休が付与されていても「1日も使ったことがない…」「使わないまま退職した…」なんてことが当たり前でしたが、それがNGになります。

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者とは

では、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者とはどういった人でしょうか。

・フルタイム労働者
・週の所定労働時間が30時間以上
・週の所定労働日数が5日以上
・週の所定労働日数が4日で勤続年数3.5年以上
・週の所定労働日数が3日で勤続年数5.5年以上

細かく記載しましたが、要するに『フルタイムで働いている』『フルタイムではないけど社会保険に加入する程度働いている』『週3~4日くらいの勤務だけど勤続年数が長い』従業員は、対象になっている可能性があるということです。

いつからいつまでに有休を使用させればいいの?

「年5日間の指定」の「年」の起算日は、「付与した日」です。

【例。4/1入社の場合】

…付与日は10/1なので、10/1~翌年9/30までの間に年5日消化させる必要があります。


中途採用をしていると入社日はバラバラだと思うので、使用者は管理が煩雑だと思います。付与日がバラバラだと管理が大変で困る・・・という場合、斉一的付与制度の導入をお勧めします。

斉一的付与制度について詳しくはこちら

取得義務への対応

では具体的にどのように有給休暇を使用させればいいのでしょうか。
大きく3パターンに分かれると思います。

①労働者本人の時期指定による付与

労働者本人が時期指定をする、いままで通りの原則です。

既に有休消化率が高く、『対象の従業員すべてが年5日以上消化できているような環境』であれば①で良いと思います。(恐らく既に有給休暇が使用しやすい職場環境が整っていると思います。)

使用者は

・付与日~1年間に年5日消化できているか管理

・取得期限の○か月前になっても消化できていないようであれば本人に声かけをして確実に消化して貰う

ようなルールにすると良いと思います。

②労使協定締結による計画的付与

有休消化率が低く、ほとんどの従業員が取得できていない環境であれば②をお勧めします。

就業規則に計画的付与について定めて労使協定も結ぶ必要がありますが、付与した有給休暇のうち5日を超える日数について『事業場全体による一斉付与』や『班別付与』『個人別付与』ができます。

③労働者本人の希望を聞いたうえで使用者による時期指定

今回の改正のポイントです。『使用者が労働者に取得時期の意見を聴取』し、『労働者の意見を尊重して使用者が取得時期を指定』します。

労働者から有休の取得の申出がしずらい職場環境でも、『使用者が労働者に意見聴取』をして『休ませなければいけない(義務)』というのがこれまでとの大きな違いです。

「取得期限の1ケ月前に5日消化できていないことに気付いた・・!」となると、実際、仕事を回すのが困難になると思います。

年単位や数カ月単位であらかじめ年次有給休暇取得日の計画をたてるか、取得期限の○か月前になったら労働者に意見聴取をする、といったルールを会社で定めると良いと思います。

年次有給休暇の管理簿

「そもそも有給休暇の付与日数や消化日数の管理さえしていなかった・・」という場合、2019年4月に備えて、まずは年次有給休暇の管理簿を作成することから始めてください。

⇒年次有給休暇の管理簿について詳しくはこちら

その他、有給休暇の付与をする条件として、
・付与する日の直前1年間(最初の付与は直前6カ月間)の出勤率が8割以上
・業務上の療養のための休業期間、産休・育休期間、年休をとった日は出勤日として考える
といった従前からのルールもあります。

 

使用者や担当者はいまいちど有給休暇について確認しておくことをお勧めします。

有給休暇ハンドブック(厚生労働省)

 

(佐藤)

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