「子の看護等休暇」は、育児介護休業法に定められているもので、2025年4月1日から施行されています。
子育てをする労働者が、子どもの病気やけが、学級閉鎖、卒園式等の式典の際に仕事を休みやすくして、子育てをしながら働き続けることができるように位置づけられています。
事業主は、対象となる労働者から休暇の申出があったときは、原則として申出を拒否することができません。

子の看護等休暇を取れる労働者
日雇い労働者を除く、対象となる子どもがいるすべての労働者。
ただし、労使協定を結んでいる場合、事業主は次の労働者からの看護等休暇の申出は拒むことができます。
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 時間単位で休暇を取ることが難しい認められる業務をしている労働者の時間単位の休暇
子の看護等休暇で対象となる子ども
小学校の3年生が修了するまでの子ども。
(9歳の誕生日の前日以後の最初の3月31日まで)
子の看護等休暇を取得する理由
対象となる子どもに次の理由があって世話をする場合
- 病気やけが
- 予防接種、健康診断
- 感染症に伴う学級閉鎖等
- 入園式、卒園式、入学式などの式典
子どもの病気やけがの種類や程度に決まりはありません。一般的な風邪による発熱などでも申出ができます。
また、この看護等休暇で取れる行事は「入園」「卒園」「入学」などの式典で、「授業参観日」や「運動会等」の行事は取得理由になりません。
子の看護等休暇を取得できる日数
1年間に5日まで。ただし、対象となる子が2人以上いる場合は10日まで。
休暇の単位
1日単位、または1時間単位※。
※時間単位で子の看護等休暇を取得することが困難な業務の場合、労使協定を結ぶことで労働者からの申出を拒むことができます。
(国際路線等の客室乗務員や、交替制勤務で時間単位で休む人を勤務体制に組み込むことが困難な業務など)
1日の所定労働時間の端数は切り上げ
1日の所定労働時間が7時間30分など、1時間に満たない端数がある場合は、端数を切り上げます。
(1日の所定労働時間数が7時間30分の場合は8時間分の休暇で1日分)
子の看護等休暇を取った時の賃金
子の看護等休暇中の賃金については法律上の定めがないため、事業主が自由に決められます。無給でも法律違反ではありません。
無給の場合、休む権利はあるものの、休暇を取得した分の賃金は出ないことになります。
労働者が子の看護等休暇を申出するときに伝える内容
子の看護等休暇の申出は、次の内容を事業主に伝える必要があります。
- 労働者の氏名
- 申出の対象となる子どもの氏名と生年月日
- 休暇を取得する年月日(時間単位の場合は開始と終了の年月日時)
- 申出の理由
申出書の書式については、厚生労働省が出している社内様式例を活用できます。
労働者の申出にあたって、考慮する事
労働者からの申出にあたって、事業主は次の点を考慮する必要があります。
- 事業主は、申出理由を証明する書類の提出を求めることができますが、子の看護等休暇は一般的な風邪による発熱などでも申出ができます。そのため、医師の診断書が得られない場合、購入した薬の領収書で確認するなど、柔軟な対応が求められます。
- 子の看護等休暇は、子どもの急なけがや発熱など、緊急の場合も多いと考えられます。そのため、当日は電話等の口頭の申出でも取得を認めて、書面の提出は後日でも可とする取扱いが求められます。
子の看護等休暇まとめ
項目 | 内容 |
対象となる労働者 |
日雇い労働者を除く、対象となる子どもがいるすべての労働者。 ※労使協定が締結されている場合、以下の労働者を除く ・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 ・時間単位での休暇取得が難しいと認められる業務に従事している労働者の時間単位の休暇 |
対象となる子ども | 小学校3年生が修了するまでの子ども。(9歳の誕生日の前日以後の最初の3月31日まで) |
取得可能日数 | 1年間に5日まで。対象となる子どもが2人以上いる場合は10日まで。 |
取得理由 |
対象となる子どもの以下のいずれかの理由。 ・病気やけが ・予防接種、健康診断 ・感染症に伴う学級閉鎖など ・入園式、卒園式、入学式等の式典(「授業参観日」や「運動会等」はNG) |
休暇の単位 |
1日単位、または1時間単位※。 ※時間単位での取得が困難な業務の場合で労使協定を結んでいる場合は除く |
休暇中の賃金 |
勤務先の規定による(無給も可)。 |