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自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第367号)により改正され、令和6年4月1日から適用されます。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)とは

トラックなど自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図るため、業務の特性を踏まえて、労働基準法では規制が難しい次の内容を大臣告示として平成元年に定めたものです。


労働基準法では「労働時間」や「休憩時間」を定めていますが、改善基準告示では主に次の内容を定めています。

 拘束時間   始業から終業までのすべての時間。
休憩や仮眠時間を含みます。
 休息期間  終業してから次の始業までの間。
勤務と勤務の間の自由な時間で、労働者にとって全く自由な時間です。
 運転時間 運転している時間。
 連続運転時間  連続して運転している時間。
※図は厚生労働省労働基準局 トラック運転者の労働時間等の改善基準ポイントから抜粋

改善基準告示の対象者

改善基準告示の対象者は、労働基準法第9条にいう労働者であって、四輪以上の自動車の運転業務を主にする人です。

  • 労働者のうち、同居の親族のみを使用する事業または事業所に使用される者および家事使用人は除きます。
  • 個人事業主は、労働基準法での労働者ではないので直接の対象とはなりません。しかし、国土交通大臣が旅客自動者運送事業者や貨物自動車運送事業者への勤務時間や乗務時間の告示を定めており、その基準で改善基準告示が引用されているので、実質的に改善基準告示の順守が求められています。

自動車の運転の業務を主にしているかどうか

自動車の運転の業務を主にしているかどうかは、個別に実態に応じての判断されます。
物や人を運搬するために自動車を運転する時間が、実際に労働時間の半分を超えていることなどが判断要素となります。

また、運送を事業としてとして行っていなくても、

  • 工場などの製造業における配達部門の自動車運転者
  • 自家用自動車の自動車運転者

など、自動車運転者を労働者として使用していれば改善基準告示は適用されます。

改正の背景

厚生労働省島根労働局監督課が出している「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容(トラック)について」によると、トラック運転者は、全産業平均と比べて『年齢が高く』『実労働時間数が長く』『所定内給与額が低い』傾向にあります。

 

また、令和3年度の脳・心臓疾患の労災支給決定件数は、
道路貨物運送業32.5%、
貨物自動車運転者30.8%
と、業種別・職種別でそれぞれ最も高い結果でした。

 

脳・心臓疾患の労災認定基準では、労働時間と睡眠時間について重要な要件のひとつとして見ています。

これらの観点や、働き方改革における時間外労働の上限規制(年間960時間以内)をふまえて改正にいたりました。

改善基準告示の改正内容

トラック運転者

  • 1年、1カ月の拘束時間

1年の拘束時間は3,300時間以内、かつ、1カ月の拘束時間は284時間以内です。

≪例外≫

労使協定を結んだ場合は
・1年の拘束時間が3,400時間に収まる範囲内で
・1年のうち6カ月までは1か月の拘束時間を310時間まで
にできます。
ただし、1カ月の拘束時間が284時間を超える月は連続3カ月までです。

1カ月の時間外労働および休日労働の合計時間数は100時間未満になるよう努力しなければいけません。

  • 1日の拘束時間

1日(始業時刻から数えて24時間)の拘束時間は13時間以内が基本です。
延長する場合の上限は15時間で、14時間を超えるのは週2回までが目安です※。


1日の拘束時間が13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努める必要があります。
回数は週2回までが目安ですが、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

※一定の要件を満たす宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回まで16時間まで延長ができます。

  • 1日の休息期間

休息期間(終業後、次の始業までの間)継続11時間以上与えるように努めることを基本として、継続9時間を下回ってはいけません
※一定の要件を満たす宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、週2回まで継続8時間以上とすることができます。

  • 運転時間

2日を平均して1日あたりの運転時間は9時間以内2週を平均して1週あたりの運転時間は44時間以内です。

  • 連続運転時間

連続運転時間は4時間以内です。

運転開始後4時間以内、または4時間を経過した直後に、30分以上は運転を中断する必要があります。
中断は、原則として休憩を与えなければいけません。

運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上としたうえで分割することもできます。
1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。

  • 休日と休日労働の回数

休日は、休息期間に24時間を足した連続した時間を指します。
休息期間に24時間を足した時間(=休日)はどんな場合でも30時間を下回ってはいけません。

なお、休息期間は11時間が基本で9時間を下回ってはいけないので、
通常勤務の場合は継続33時間(24時間+9時間)を下回ることのないようにする必要があります。


休日労働は2週間に1回が限度で、休日労働によって拘束時間の上限を超えないようにする必要があります。

その他、車両の故障など予期しえない事象や、分割休憩・2人乗務・隔日勤務・フェリーの場合の特例などが定められています。

タクシー・ハイヤー運転者

≪日勤の場合≫

  • 1カ月の拘束時間

日勤勤務者の1か月の拘束時間は288時間以内です。

  • 1日の拘束時間

1日(始業時刻から24時間)の拘束時間は13時間以内とし、延長する場合でも上限は15時間です。
延長する回数は週3回までが目安です。

13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めなければいけません。
また、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

  • 1日の休息期間

勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはいけません。

≪隔日勤務の場合≫

隔日勤務とは、始業と終業の時刻が同じ日にない業務をいいます。
深夜時間帯を含む2労働日の勤務を1勤務にまとめて行うもので、都市部を中心に広く採用されています。

  • 1カ月の拘束時間

隔日勤務者の1か月の拘束時間は262時間以内です。
※地域的その他特別な事情がある場合、労使協定により1年のうち6カ月までは1か月の拘束時間を270時間まで延長することができます。

  • 2暦日の拘束時間

22時間以内、かつ、2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内です。

  • 2暦日の休息期間

勤務終了後、継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし、22時間を下回ってはいけません。

また、日勤勤務と隔日勤務を併用して頻繁に勤務態様を変えることは、労働者の生理的機能への影響を鑑みて認められません。

その他、車両の故障など予期しえない事象についての特例や、車庫待ち等の自動車運転者についての定め、累進歩合制度の廃止やハイヤーについての36協定のルール、 休日労働は2週間に1回が限度などが定められています。

バス運転者

  • 「1年・1カ月」または「52週・4週平均1週」

どちらかを選択します。

「1年・1カ月」の基準1年の拘束時間は3,300時間以内 かつ 
1カ月の拘束時間は281時間以内
※貸切バス等乗務者の場合は例外の規定があります。
「52週・4週平均1週」の基準 52週の拘束時間は3,300時間以内 かつ 
4週を平均した1週あたりの拘束時間は65時間以内
※貸切バス等乗務者の場合は例外の規定があります。
  • 1日の拘束時間

1日の拘束時間は13時間以内とし、延長する場合でも上限は15時間です。

延長する回数は週3回までが目安です。
13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めなければいけません。
また、14時間を超える日が連続することは望ましくありません。

  • 1日の休息期間

勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回ってはいけません。

  • 運転時間

2日を平均した1日あたりの運転時間は9時間以内
4週間を平均した1週間あたりの運転時間は40時間以内です。

※貸切バス等乗務者の場合の例外があります。

  • 連続運転時間

連続運転時間は4時間以内です。

運転開始後4時間以内、または4時間経過直後に、30分以上は運転を中断して休憩等を確保しなければいけません。

運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上としたうえで分割することもできます。

※高速バス・貸切バスの高速道路の実車運行区間の連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努める必要があります。

  • 休日労働

休日労働は2週間に1回が限度で、休日労働によって拘束時間の上限を超えないようにする必要があります。

その他、車両の故障など予期しえない事象や、分割休憩、2人乗務、隔日勤務、フェリーの場合の特例などが定められています。

 

【労務管理】2024年4月以降の時間外労働の上限規制

労働時間は、原則として1日8時間、1週につき40時間以内と労働基準法で定められています。
(法定労働時間といいます)

36協定を結ぶと法定労働時間を超えて時間外労働ができるようになりますが、働き方改革の一環で、2019年4月(中小企業は2020年4月)から時間外労働の上限時間が法律で定められました。

時間外労働の上限

原則の限度時間・1カ月45時間(休日労働時間を含めない)
・年間360時間以内(休日労働時間を含めない)
臨時的な特別な事情がある場合・1カ月100時間未満(休日労働時間を含める)※1
・複数月を平均して80時間以内(休日労働時間を含める)※2
・年間720時間以内(休日労働時間を含めない)
・原則の限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年間6ヶ月まで
※1 100時間”未満”なので、100時間は時間外労働をしてはいけません。99時間59分までです。
※2 複数月を平均して、というのは、具体的に「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」のすべてを満たすことをいいます。 

時間外規制の猶予期間が終わる業種

次の事業・業務は、業務の特性や取引慣行の課題があることなどから時間外労働の上限規制の適用が猶予されていましたが、2024年4月からは猶予期間が終わって上限規制が適用されます。

  • 工作物の建設の事業
  • 自動車運転の業務
  • 医業に従事する医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

工作物の建設の事業

2024年4月以降、建設業では、『災害時における復旧及び復興の事業』を除いて、臨時的な特別な事情がある場合でも時間外労働の上限規制が『一般の労働者と同じように』適用されます。

≪再掲≫

災害時における復旧及び復興の事業

災害時における復旧及び復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されません。臨時的な特別な事業がある場合の年間720時間以内、原則の限度時間を超えられるのは年間6カ月まで、のみが適用となります。

自動車運転の業務

2024年4月以降、自動車運転者は、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働の上限が『年間960時間以内』となります。

一般の労働者と異なり、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働と休日労働の合計について、次の規制は適用されません。

  • 月100時間未満
  • 2~6ヶ月平均80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで

自動車運転の業務に従事する労働者は、時間外労働時間の上限規制とは別に、令和6年4月1日から適用される運転時間や勤務間インターバルについて定めた「改善基準告示」を遵守する必要があります。

医業に従事する医師

2024年4月以降、医業に従事する医師は、臨時的な特別な事情がある場合の『年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(※)』となります。

一般の労働者と異なり、臨時的な特別な事情がある場合の時間外労働と休日労働の合計について、次の規制は適用されません。

  • 月100時間未満
  • 2~6ヶ月平均80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで

※労働基準法とは別に、医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがあります。
特別条項付き36協定(臨時的な特別な事情がある場合)を締結する場合、特別延長時間の上限(36協定上定めることができる時間の上限)については、次のようになります。

  • A水準、連携B水準 …年960時間(休日労働含む)
  • B水準、C水準   …年1,860時間(休日労働含む) 

特例水準は都道府県から指定されます。

なお、医業に従事する医師については、特別延長時間の範囲内であっても、個人に対する時間外・休日労働時間の上限として副業・兼業先の労働時間も通算して、時間外・休日労働を、次のようにする必要があります。

  • A水準…年960時間/月100時間未満(例外的につき100時間未満の上限が適用されない場合がある)
  • B・連携B水準・C水準…年1,860時間/月100時間未満(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合が
    ある)

鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

2024年4月以降、上限規制がすべて一般の業種と同じように適用されます

【労務管理】年次有給休暇の計画的付与

年次有給休暇の計画的な付与が魅力的な理由

 年次有給休暇の計画的な付与が、事業主にも従業員にも魅力的な理由について考えてみたいと思います。

従業員の定着率向上や、従業員エンゲージメントの向上

 人手不足で求人をかけてもなかなか応募が集まらない今、既存の従業員の定着率向上や、従業員エンゲージメント(「会社に貢献したい」という従業員の自発的な意欲)の向上を課題としている経営者や人事担当者も多いと思います。

 商工中金の「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査」によるとエンゲージメント向上に向けた各種取り組みの中で、”ワークライフバランスや多様な働き方の推進” ”福利厚生の充実” は5割近くも取り組みとして掲げられています。

参考リンク
商工中金「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査(2023年8月商工中金景況調査 トピックス調査)2023/10/31」

従業員にとってのメリット

 年次有給休暇の計画的な付与は、従業員にとってメリットがあります。
まず、有給休暇の取得をなかなか言い出しづらい職場においても確実に有給休暇を取得できます。
プライベートの予定を立てることができるため、旅行や家族との時間を充実させることができるでしょう。リフレッシュすることで仕事の生産性も向上すると言われています。

働き方の柔軟性が高まれば、職場への定着意欲も高まると考えられます。

ワークライフバランスや多様な働き方の推進のために

 年次有給休暇の計画的な付与は、ワークライフバランスを実現するための一つの手段として考えられます。
従業員は休暇を計画的に取ることで、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。
柔軟な働き方が求められている今、計画的な付与は、そのニーズに応えるための一つの方法になると思います。

事業主にとってのメリット

 年次有給休暇は、労働基準法39条に定められた労働者にとっての権利です。
さらに、2019年からは一定の労働者には年5日は必ず時季を定めて『有給休暇を使用』させなければいけないと法律に明記されました。

 有給休暇を随時バラバラに使用させる場合、労働者が「忙しい」などの理由で取れなかったとき、事業主は意図せずまとめて取得させることになります。
 法令順守の観点だけでなく、業務を計画的に行うためにも、有給休暇を計画的に使用させることは事業主にとって意味のあることなのです。

年次有給休暇の計画的付与とは

 では、年次有給休暇の計画的付与とは一体どのようなものでしょうか。
計画的付与は、従業員が予定を立てやすくするため、一定のタイミングで休暇を付与することです。

 従業員が与えられている年次有給休暇のうち、5日を超える部分(10日付与されていたら、10-5=5日間)を計画的付与で使う分にできます。

 就業規則に計画的付与を行う旨を記載のうえ、事業主と労働者で労使協定を結び、具体的な方法を記します。労基署への届け出は不要です。

年次有給休暇の計画的付与に関する就業規則の規定例

(年次有給休暇の計画的付与)
第●条 
労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。

計画的付与の導入の具体例

計画的な付与を導入するためには、いくつかの具体的な方法があります。

①全体の休業による一斉付与方式

 製造部門など、事業場全体を休みにできるような業態の場合、全従業員に対して同じ日に有給休暇を与える一斉付与方式が考えられます。

 

②班・グループ別の交代制付与方式

 定休日を増やすことが難しい事業場では、班・グループ別で交代で年次有給休暇を付与する方式が取られることが多いようです。

 

③計画表による個人別付与方式

 個人別に計画表を作って導入する制度です。
夏季・年末年始・GWや個人的な記念日などに休暇を取ることが考えられます。

 

 

従業員の休暇の希望や予定を把握することが重要

 いずれにせよ、まずは、従業員の意見を聞くことから始めましょう。
従業員の休暇の希望や予定を把握することが重要です。
また、業務のスケジュールを調整するために、従業員同士のコミュニケーションを円滑にすることも大切ですので、会議やツールの利用などで情報共有と連携を図りましょう。

 

終わりに

 年次有給休暇の計画的な付与は、従業員にとっても事業主にとってもメリットがある制度と言えます。
従業員が休暇を計画的に取ることで、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、ワークライフバランスの重要性が高まる現代において、計画的な付与の導入は企業にとってもメリットがあるでしょう。


従業員エンゲージメントの向上と労働環境の改善に取り組むために、ぜひ計画的付与制度の導入を検討してみてください。

 


(注)当記事におけるテンプレート等の使用によって生じる損害について、弊社はいかなる場合においても一切責任を負いません。あらかじめご了承ください。

【労務管理】出生時育児休業中の就業には労使協定締結を忘れずに

今後も継続して法改正が考えられそうです。

令和4年10月に施行された出生時育児休業により、男性も育児休業を取得する方が増加しています。
会社側も労働者本人、配偶者の妊娠の報告が会社にあった際に育休制度の説明、育児休業取得の意向を労働者に確認する事が義務づけられました。
これらによって会社側、労働者側、両方の視点からも育児休業取得への関心が高まり休業取得に繋がったと思います。

出生時育児休業の制度が施行されて1年が経ちますが、会社様の就業規則、育児休業規定を確認していると、労使協定を結ばずに出生時育児休業中の就業を行っている会社様、協定が必要な事を知らなかった、結んでいない会社様が多いと感じました。
労使協定締結が必要な事を抜けてしまっている会社様が多いので、こちらには注意が必要です。

厚生労働省の育児休業中の就業についてのページはこちらです。
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fjsite.mhlw.go.jp%2Faomori-roudoukyoku%2Fcontent%2Fcontents%2F001315989.docx&wdOrigin=BROWSELINK

育児休業は出生時育児休業や、2回の分割など取得しやすい法改正を行った反面、制度自体が複雑化し内容を理解することがかなり難しくなりました。
今後も少子化対策を図る為、育児・介護休業法は大きな改定が進んでいくと思われます。その都度、自社の就業規則の見直し、添削作業を行うことは非常に時間と労力がかかります。その際は思わぬ見落とし、労使間のトラブルなどを防ぐためにも、専門家の方に意見をお伺いしてみることをお勧めいたします。

【労務管理】2024年4月から労働条件明示が変更・無期転換ルールについて

無期転換ルールの認知度や利用度が上がる見通し

2024年4月から労働契約締結時に明示する条件が変更となります。
その中のひとつに有期契約労働者の無期転換申し込み機会の明示が追加されます。
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者の申込みにより、期間の定めの
ない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。
現在の統計結果では無期転換ルールを行使した労働者の割合は3割未満となっており、比較的利用率が高くありません。
現状の雇用契約のままで良いという理由で利用しない労働者も多いようですが、制度認知の低さも理由の一つでしょう。
今回の改正がルール認知度の向上に繋がり、利用する労働者も増加に向かう事が考えられます。


事業主様としては雇用契約書や労働条件通知書の内容変更、有期雇用から無期雇用への転換ルール、転換機会の労働者への説明、転換後の労働条件をどう評価決定するかなどの準備を進めていく必要がございます。

労働条件明示ルール変更の準備についての厚生労働省のサイトはこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156048.pdf

無期転換ルールについての詳しい説明が載っている厚生労働書のサイトはこちらです。
https://muki.mhlw.go.jp/

労働条件通知書の改正モデルはこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156118.pdf

【労務管理】年次有給休暇の時期指定未払いで送検

今後は有休取得違反の調査、送検が増加する可能性が高い

茨城・龍ヶ崎労働基準監督署は飲食業の会社、その代表取締役を労働基準法第39条(年次有給休暇)違反の疑いで書類送検をしました。平成31年4月1日~令和4年3月31日の期間において、年10日以上の年休が付与される労働者全員に対して時季指定を怠り、年5日間を取得させていなかったようです。違反は労働者からの申告から発覚し、是正勧告を行われていたが、改善の意思がみられなかったため、送検となったようです。


現在、年10日以上の年休が付与される労働者に、年休の日数のうち年5日については、時季を指定して取得させることが義務付けられています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

今後は有休取得違反の調査も増加していくと思いますので、ご留意ください。

【労務管理】割増賃金の基礎となる賃金にいれなくてもいい手当

毎月支払う「賞与」という考え方の手当

 労働基準法には賞与の定義はありませんが、通達により、「賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないものをいうこと。定期的に支給され、かつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず、これを賞与とはみなさないこと。」と定義されています(昭和22年9月13日発基17号)。

 ここで大事なのが、一つ目に「労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないものをいうこと」の箇所です。勤務成績(会社が人事評価などをする)に応じて、未確定であることが「賞与」の定義としていることであり、二つ目に、「賞与」は、毎月支給するものではない、もしくは3か月以上に1回支給されるものであるということは一切記述がないということです。
 よって、「賞与(勤務成績に応じて、支給額が未確定である手当)が毎月支給されるということは何ら問題がなく、賞与であるので割増の基礎となる賃金にはならない」ということが言えるわけです。例えば、社長さんが各従業員の積極性や業務遂行力、欠勤がない、などの評価を毎月することによって支給額を決定し、支給される手当は、割増の基礎となる賃金にはならないと考えれれます。通常のイメージでは6か月に1回支給される賞与と同じものです。なお、これらのことは複数の監督官とも確認済みです。
 間違ってはいけないのが、歩合手当です。これは、会社や従業員個々に定められた数字によって支給されるものというものであり、「勤務成績に応じて」という人事評価などとは異なるものと思われます。なお、歩合手当の場合は、割増賃金の計算をする必要があります。(通常の計算方法とは異なります)
 

 

 

 

【労務管理】4月から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

就業規則、雇用契約書等の変更も忘れずに

令和5年4月1日より中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が25%から50%に引き上げとなります。
労働者の健康保護のため、長時間残業を抑制することが目的です。
企業側としても高額の割増賃金を支払う必要のある60時間を超えない時間外労働になるように、業務の見直しや検討が必要となる事でしょう。https://jsite.mhlw.go.jp/mie-roudoukyoku/content/contents/001285512.pdf

【労務管理】傷病手当金等が新様式に変更となりました。

以前より記入要項が簡易化されています。

健康保険の傷病手当金、出産手当金等の申請書が令和5年1月より新様式に変更となりました。
協会けんぽに確認したところ、旧様式でもしばらくは受け付け可能だが、、
お早めに新様式への移行をお願いします、との事です。

下記は傷病手当金の新様式となります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/kenkouhokenkyuufu/k_shoute2212.pdf

傷病手当金の申請書で大きく変更となった点は下記2点です。
①振込口座の記入欄に代理人の受取口座欄が削除された。原則的に被保険者、本人口座受け取りのみとなりました。
②事業主の賃金証明欄の出勤、欠勤などの記載が変更。出勤した日に〇印のみ記入すれば良いことになり、
いままでの公休、有休、欠勤などの記号の記載が無くなり、簡易化しています。

新様式に変更となった事で、今までの記載要項より全体的に簡易化され記入の負担が軽減しています。

【労務管理】社会保険の勤務期間要件が変更になりました。

2か月以内の雇用期間でも社会保険加入の必要が生じる場合有り。

令和4年10月から有期雇用契約の社会保険加入の条件が変更となりました。(2か月契約の取り扱い)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0729.files/05.pdf

これまでは2か月以内の雇用契約で、契約期間の更新があり得る契約を結んだ労働者の場合、
社会保険の被保険者資格から除外されていました。
2ヶ月の契約期間を更新した時点から社会保険加入の適用要件となっていました。
従業員の入退社が多い企業、派遣会社などは一旦2か月の契約をして継続勤務してもらえるか様子見等をして、
2カ月後から加入していた会社もあったと思います。


10月からは契約期間が2か月間で契約更新が無い場合は社会保険加入は必要ありませんが、
契約を更新する場合があるという契約内容、同一の事業所で2か月の同様な契約を更新して雇用された実績がある場合は社会保険適用となり、加入が必要となりました。

現在は雇入れ時からの加入が必要となっていますので、ご注意ください。

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