第174回通常国会において、平成22年4月14日に「小規模企業共済法の一部を改正する法律」が成立し、同21日に公布されました。平成23年4月までに施行されることとされていますが、施行日や制度の細かな内容については今後、政令や経済産業省令等によって定められます。
と、いきなりなぜこんなことを書き始めたのかと申しますと、中小企業経営者の方には、この「小規模企業共済」という制度をぜひ知っておいていただきたいからです。
小規模企業共済制度は、小規模企業の個人事業主または会社等の役員の方が事業をやめられたり、退職されたりした場合に、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。いわば「経営者の退職金制度」といえます。
法律(小規模企業共済法)に基づく制度で、国が全額出資している独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営しています。
契約者の方から預かる掛金とその運用収入は、すべて契約者に還元される仕組みで、制度の運営経費は全額国からの交付金により賄われています。
昭和40年に発足した実績ある制度で、現在約120万人の方が加入しています。
この制度に加入できるのは、次の方々です。(加入時の年齢制限はありません)
●常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員
●事業に従事する組合員が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員
●常時使用する従業員が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
●常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
冒頭に述べた法改正で、共済契約を締結できる小規模企業者の範囲は拡大され、個人事業主の配偶者や後継者などの共同経営者2人まで(親族でなくても可)加入できることになります。
次回以降、この制度の詳細について述べたいと思います。