【労務管理】傷病手当金は懲戒処分で出勤停止の日にも支給される
傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度です。勤務先で社会保険に加入している方が病気やケガのために会社を休み、賃金が受けられない場合、傷病手当金の申請ができます。

傷病手当金が支給される条件
傷病手当金は、次の条件をすべて満たしたときに支給されます。
- 業務や通勤と関係ない理由による病気やケガによって、会社を休んでいる
- 仕事ができない状態である
- 所定休日や有給休暇も含めて当該療養のために3日間連続で休んで、4日目以降も仕事に就けない
- 休業した期間について給与の支払いがない
傷病手当金は、上記の3つ目の「待機3日間」が成立した後、4日目以降について支給されるものですので、会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。
また、傷病手当金の金額は、傷病手当金を受給する方の社会保険の金額(原則として過去1年間の標準報酬月額の平均)を元に決定されます。
支給される期間は、支給を開始した日から通算して最長で1年6ヵ月です。

労務できない期間が、懲戒処分による出勤停止期間の場合
出勤途中に追突事故を起こし、会社から出勤停止処分(後に懲戒解雇)をされた方が、アルコール依存症の療養のために仕事ができなかったとして傷病手当金の支給申請をしたところ、保険者組合から「会社から出勤停止になっている間は労務不能とはいえない」と却下された件について、再審査請求によって傷病手当金が支給されることとなった事例があります。
(社会保険審査会 令和2年(健)第1131号)
傷病手当金の支給要件は「療養のため労務不能」であることのみ
当初、保険者組合は「出勤停止を命じられている期間は、そもそも『労働の義務が発生しない』状況のため、『療養のため労務に服することができないとき』に該当しない」としていました。
しかし、健康保険法第99条第1項は、傷病手当金の支給要件として、療養のための労務不能であることのみを要件としています。
「労働義務がある日(賃金請求権を有する日)であること」は要件としていません。
健康保険法 第99条
被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条第一項において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
昭和2年社会局保険部長通知でも「労働義務がない公休日でも労務不能なら支給する」としており、公休日についても傷病手当金は支給されています。
これらのことにより、出勤停止の懲戒処分のため雇用契約上賃金請求権がない日であっても、療養のため労務不能で賃金を受けられないなら支給対象となりました。
労働者災害補償保険における休業補償給付の場合
業務が理由となって休業をした場合に受けられる労働者災害補償保険における休業補償給付においても、休日や出勤停止の懲戒処分等のため雇用契約上賃金請求権が発生しない日も支給されることが最高裁判決で示されています。
(最高裁判所昭和58年10月13日第一小法廷判決 事件番号:昭和58(行ツ)4)
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